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青い鳥文庫

講談社の「青い鳥文庫」を初めて買った。
小学5年生の息子に欲しい本があるか訊いたら「青い鳥文庫」を読んでみたいという。しかし「青い鳥文庫」の何が読みたいのか定かではない。よって父親の独断と好みで二冊を選んだ。
その一冊が『地獄堂霊界通信(1)』(著者:香月日輪)である。
# ネタバレ(というほどの事は書いていないが)に注意
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息子は二日間で読破した。熱心に読みふけっていた。
よほど興味を引かれたのだろう。地獄、霊界、不思議な事件、死神、ワルガキ三人組とくれば、好奇心がわく。実は私も読んでみたいと思ったのである。
本来ならば日本や世界の名作とか偉人伝などを考えるところだが、読みやすい(だろう)本を選んだ。7月の新刊でもあったので・・・。(動機としては弱い?)
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他愛のない妖怪話、悪霊退治物語であると云うことは容易いが、実に面白かった。楽しい読み物である。『蜘蛛の糸』に言及する場面もある。
著者は後書きでこう記している。
 科学の発展はすばらしい。
 でも、怖い話を聞いたあとは、
 やっぱり一人でトイレに行けないとか、
 ・・・(中略)
 暗闇にひそむものの存在を畏れる、
 ・・・(中略)
 そんな心は、絶対になくしてほしくない。
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後書きの冒頭では、ラフカディオ・ハーンの言葉を引用している。
(長文なので、以下は私の大意である)
 科学的には迷信である話しでも、
 ナンセンスだと思う人間と、
 深淵な教えや寓意を感じるとる人間とでは、
 どちらの心が豊かだろうか。
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ところで、この『地獄堂霊界通信』には「ガラコ」という名前のネコが登場する。
第一巻ではストーリーの重要なメンバーではない。
一度だけ主人公の一人“てつし”が妖怪と戦う最中に突然空いた穴に落ちそうになるのを「ガラコ」が助けるが、それ以外は絡んでこない。しかし、全編にわたって薬味のように効いてくる。
ネコ好きには特にスパイシーだ。
「ガラコ」の絵(作:みもり)が、何かに似ている。
どうしても思い出せなかったので長女に訊ねてみたら『トトロ』のネコバスに似ているという。なるほど!
家の“きき”と“らら”をガラコに会せたら・・・などと他愛のない妄想をしてみたり。
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ちなみに、もう一冊は『あしながおじさん』(ジーン・ウェブスター)である。
私は中学生になった頃、この作品とジュール・ルナールの『にんじん』を愛読していた。両者とも片や手紙形式で、方や小話形式で構成されており、それまでほとんど読書していなかった子供にも読みやすかった印象が強い。
自分にも何かしら幸福が訪れるかもしれないと希望に胸を膨らませながら読んだ『あしながおじさん』。
幸福とは言えない幼少期を過ごしながら成長していく少年の姿を描いた『にんじん』。
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「青い鳥文庫」の感想からは離れるが、『にんじん』は特にお気に入りであった。
毎晩、寝床に入りながら読むのが楽しみであった。
“にんじん”とあだ名された主人公フランソワ・ルピックに共感するものがあったのかもしれない。
私も家族からではないが、小学6年のホームルームのときに、級友から「へそが曲がっているんだ」と嘲弄されたことがある。その子とは家が近く友達であったが、いつの頃からか疎遠になっていた。そうなった原因は憶えていないが、お互いに嫌いになっていったような気がする。教室で先生から何かを注意された際に、その子がダメ押しするかのように上記の言葉を意気揚々と発したのである。クラスメートの面前である。嫌だな、恥ずかしいなという思いを味わったはずであるが、感情も記憶も時が経つと次第に薄れていく。切なくて悲しいが、ちょっぴり懐かしい想い出である。
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ブログのサブタイトルの境地に立とうとして立てない店主の心模様を綴ろうと思います。
人生ままならない店主は、写真のスキャンサービスという仕事をしています。デジタルカメラが全盛の中、大切な思い出の写真(主に紙焼き写真)をデジタル化して保存するお手伝いをしています。
神奈川県相模原市にある家族経営のサービスです。
写真は、長女が1歳の頃...かなり昔なので、店主も若い!(笑)
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